5.知られてしまった秘密

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…………… そんなに遅くないと思っていたのに、気づくと響から、着信があり得ないほど入っていた。 留守電…聞くのも怖い…。 そのまま急いで帰ろうと、駅の改札を抜けようとしたところで着信がきた。 「…も、もしもし」 「どこでなにやってる?腹減ったぞ?」 …へ? 「…今日送別会って言ったじゃん」 「飯を作らないとは言ってないだろ?」 …あ、これ…お仕置きだ。 「…わかった。買い物して急いで帰るから、お風呂入って待ってて」 飲み会って言ったんだから、遅くなるに決まってるし、どこかで食べてきてくれればいいのに…。 響は私が大学からまっすぐ帰ってこないと、すごく変な意地悪をすることがある。 今日の夕飯作りも多分その一種。 だけど… 最寄り駅に着いてみたら…そこに立つ背の高い超イケメン。 「腹減ったから…今すぐ琴音を食べたい」 なんて、いきなりアダルト発言。 「…ちゃんと作るからダメ。私なんか食べても美味しくないよ」 そういう意味じゃねーんだよな…と言いながら、響はパンツのポケットに手を入れた。 その腕に、私の腕を絡ませるように言われて、響に引っ張られるように歩く。 ふと見上げて響の顔を見て、玲にキスをされた事を思い出した。 何となく落ち着かなくて、目を泳がせるように下に向ける。 「…なんかあったか?」 そんな私の変化に、響は鋭く気づいたらしい。 「玲が…」 言えばもしかしたら…面倒なことになるかもしれないのに… 言わずにはいられなかった。 「急にキスしてきて…」 …響の足が止まった。
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