5.知られてしまった秘密

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…………… 夕飯はコンビニのお弁当に変わった。 「…ダメだよ。こんなの響に食べさせられない!」 そう言ったのにガンとして聞かない響。 帰宅してバスルームに追い立てられ、その間に完食したようだ。 続いて響もシャワーをした後、いつもならダラダラ過ごすリビングでのひとときをすっ飛ばし、私の手を掴んで引っ張っていくのは…寝室。 多分、玲とキスした発言をした私への、お仕置きが待っていると思われる…。 「…今日は、この変な布、取ってもいいか?」 広すぎるLDKと、個室が2部屋の響のマンション。 必然的に寝室のキングサイズのベッドで一緒に寝ることになって…そこは幼なじみという信頼感で妥協していた。 …とは言っても、実は頭と足元の壁にロープを取り付け、そこに使っていないシーツをかけてベッドを半分に分けていた。 簡易的なカーテンで仕切ってるみたいなもの。 はじめ、響は嫌がったけれど、私が泣きそうにしたら仕方なく承諾してくれたという経緯がある。 今日はその…布を取って寝たいと言うのだ。 寝姿を見るのも見られるのも嫌だ…。 でも… 「抱きしめて寝るだけ。絶対、それ以上のことはしない」 いつもみたいなオラオラ要素が限りなくゼロの響なんてレアで…何か思うところがあるのだろうと、首をたてに振ってしまった。 それなのに…響は嘘つき。 仰向けに寝る私を横向きで抱きしめて… 「琴音…?」 「…なに?」 呼ばれたから横を向いたのに、次の瞬間にはキスが落ちてきた。 少しずつ響の方を向かされて、キスはどんどん深くなった… 「琴音…愛してる…」 なんて切なそうに言われて、舌を絡め取られてしまえば…私も何だかボーっとして、キスをしてる唇に全部の神経が集まったような感覚… しかも… 向かい合ったお腹のあたりに、硬い何かを感じる…。 これってもしかして… 私は慌てて唇を離して言った。 「あ…あの、私、そういう経験ないから、きっとつまんないと思う。だから…だから…」 だから…この先のことはできない。 もしくは、誰か他の人として…? …いやいや!ちがうっ 「お前、バージンか?」 改めて言われると恥ずかしい…! 「…そ、そう。だから、響はきっとつまんないよ。私なんにも知らないもん」 「キスは?」 上半身を起こして聞いてくるほど重要なことか? でも、その真剣なまなざしに押されて本当のことを言ってしまった。 「…響が、初めて…」 「…っ!」 …響、脱力したように、ゴロンと仰向けになった。
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