6.事件の予感

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…………Side 真莉 つい、感情的になってしまったことを反省した。 相手が琴音だと、本当に何も隠さずに、すべての感情がモロに出るから、たまに自分でも困る。 特に…両親の話は鬼門だって、琴音ならどこかで理解してくれているなんて甘えまで持ってた。 でも琴音は、変にへりくだったり機嫌を取るようなことはしないから気が楽だ。 黙ってテーブルに向かい合ってても、気まずくない。 人嫌い…というか苦手な俺が、こんなに感情を出せる、琴音は唯一の友達だ。 ただ… 今日俺がこんなに感情をダダ漏れにしたのは、実はもう1つ怒りを隠していたからだった。 それを知らずに、琴音はおずおず話し出す。 「…実はこの前さ、1個下のバイトくんに、告白された上にキスまでされて焦って…」 …なんだと?なんの話だ…? そう思った時には口にしていた。 「そんな話する前にさ…」 俺は目の前の琴音から視線をはずし、頬杖をついた顔を横に向けて言った。 「今日の服、ちゃんと確認してきた?黒ブラが透けてるんだけど?」 白Tだからかもしれないが、ちょっと危機感なさすぎないか? 俺だから、どんな格好でも許されると思った? 「…響さんにどやされるぞ?」 改めて向き直ると、真っ赤になった琴音と視線がぶつかる。 「…ご、ごめん」 片手で胸元を隠しながら、バッグの中にしまったマウンテンパーカーを取り出している。 なんか…見てはいけないものを見てしまった気になるのはなんでだ? 顔が…熱い気がする。 頬杖をついた手のひらが、なるべく頬を隠すようにして…俺は視線を下に向けた。
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