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7.事件です…
真莉ちゃんと別れて、響のマンションに帰ることにする。
まだそんなに遅くない時間だけど、真莉ちゃんはいつも私を送らないから助かる。
女の子同士のベタベタした付き合いが苦手で、真莉ちゃんは親友って言っていい存在だけど、女の子扱いしないから、ここまで付き合ってこれた。
何があっても自己責任。
そんな関係だから今日もあっさり別れた。
ちょっと、今までにない気まずさがあって、それは私も大反省…。
響に知られたら確かに、激怒される案件。
教えてもらってよかった。
最寄り駅から商店街を抜けて、大通りから奥へ入ったあたりにそびえ立つ響のマンション。
静かな住宅地に入ると少し緊張する。
やっぱ夜だし。
これでも一応女だし。
そんなこと言うと、響にはタクシーで帰ってこい…って言われるに決まってるしな…
もったいなくて、そんなことできるわけない。
そんな事を思いながら、見えてきたマンション。
エントランス近くに、赤いスポーツカーが停まってるのが見える。
見慣れない車に、何となく視線がいく。
すると…その車から降りてきたのは…
響…?
あ…っと思った時には、運転席から降りて駆け寄る女性が目に入った。
そして、ドアを閉めた響に…
抱きついた…。
何だか映画のワンシーンみたいだな…って、隠れるのも忘れてその場に突っ立ってしまった。
抱きついた女性は、慣れた様子で響の頬に両手をあてて…
…キスをした。
程なくして、響は女性の両腕をつかんで、自分から離して言った。
「浅野、もう終わりにしたいと…言ったろ?」
女性を残して歩き出そうとして、私がいる方に体を向けた響。
「…琴音」
目を見開いた響が名前を呼んだ瞬間、私は今来た道を、走りだしていた。
………………………
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