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「やり返すわけじゃないけど、違う男に触れたら、響さんとの違いを感じるかもよ?」
真莉ちゃんが、近づいてくる。
私に覆いかぶさる影は、思っていたよりずっと大きくて、抱きしめる腕は…意外なほどたくましかった。
「これでもまぁ、俺も男なわけでさ」
これまでの付き合い史上、一番近くに真莉ちゃんがいる。
確かに…響とは違う。
もう少し骨ばった硬さ…真莉ちゃん細いしな…。
「琴音は…やっぱり女の子だな?」
その声はなんだかのんびりしてて、子ども同士が抱き合ってるみたい。
響のラブシーンを見て、ささくれだった心が癒されていくみたいに落ち着く。
多分こんなに近くに響がいたら、もっともっと焦るし、ドキドキして、何も考えられない。
確かに、違う。
真莉ちゃんと…響。
「真莉ちゃん…ありがと」
なんとなくわかった。
そう言って、離してもらおうとした…。
「待って…もう少し…」
真莉ちゃんの腕は緩まない。
…え、ちょっと待って。
その時、外廊下を歩く足音が聞こえた。
バンッと勢いよく開いたドア
その瞬間、真莉ちゃんの唇が私に重なって…
驚きで目を見開くと…
真莉ちゃんの向こうに、響がいるのが見えた。
…なんでここに響?
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