2.響の正体

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2.響の正体

あんなふうに言われると…検索するのが怖くなる。 ちょっとそれは置いといて… 「お腹空いた…」 そういえば、抹茶フラペチーノ…あのまま置いてきちゃったなぁ。 響の家だと思うと、あんまり遠慮せず冷蔵庫を開けちゃったりなんかできる。 「こ…れ、キャビアって書いてある。わっ!蟹だぁ〜!…そしてこっちは、伊勢海老さん…?」 その煌びやかな食材たちに、またたく間に心を奪われた。 高級食材たちが綺麗に並べてある棚は、ちょっとおそれ多くて…腹ペコの私は、別の段の1つに手を伸ばした。 某コンビニのスイーツ各種…。 ここだけ妙に庶民的。 中でも大好きな、抹茶わらび餅あんころクリーム大福…をいただくことにする。 お茶もいろんな種類が冷やしてあった。 その中で…馴染み深い茶色い飲み物、麦茶らしいボトルを目についたコップに注いで飲み干した。 一息ついた私は…連日のバイトの疲れもあって…もう眠い。 お風呂に…なんて言われたけど、さすがに勝手に入れない…。  「いいや。遅くなっても帰ってきたら、家までま送ってもらお…」 それまでしばし休憩…と、瞼を閉じた。 ……… 気づくと…私はやたら広いベッドに寝かされていた。 なにこの部屋…全体的に黒い。 あれ。そういえば響は…? そっとベッドを降りて、部屋のドアを開けてみる。 昨日私が寝落ちしたソファに…響が寝てる。 スーツを脱いで、部屋着に着替えていた。 ということは、寝ちゃったあと私は、響によってこのベッドに運ばれた…ということ。 響が普段寝てるベッド、横取りしちゃったのか。 じっと寝顔を見下ろすと、その美しい顔が…さらに人間離れして見える。 長い足が全然おさまりきらなくて窮屈そうで…何だか気の毒…。 とはいえ…こんなに大きく成長した響を、ベッドに連れてってやるわけにはいかないから…放置することにしてさっきの部屋に戻った。 時計を確認すると、すでに朝方で、無断外泊したと実感…。 両親からの鬼電が入っているのを覚悟して携帯を見てみると…あれ?一件も入ってない。 それどころかメッセージもない…。 えぇ~…娘が帰らなくて…うちの親、心配しないの? …でもまぁ、起きたら響に送ってもらって、ついでに両親に外泊した理由を説明してもらおう。 昔から両親は響に甘かったし…帰れなかったのは正真正銘、響のせいなんだから! そこで…ふと思い出した。 そういえば『俺のことを検索して調べておけ』って…。 あの後寝てしまって、まだ調べてなかった。 武者小路で調べて、検索一発目で出てきたのは…
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