2.響の正体

2/4
前へ
/15ページ
次へ
「旧財閥…武者小路グループ…?」 え…?あの、武者小路? 調べてみると…金融、自動車、商社… 「あ。就活で落とされた、MKGホールディングスも、武者小路グループだったんだ…」 他に電機、重工業とか…系列会社がとにかくたくさんあった。 「…ということは、響って、武者小路グループの…御曹司?」 えぇ…っ?! そんなすごい人だったの…? ソファで寝かせちゃダメじゃん…! 慌てて部屋を出てみると…物音で起きてしまったのか、響が起き上がっていた。 「…あ、の響?こっちのベッドで寝たら? 私はもう起きるから!」 驚きすぎてとても呑気に寝てられないわ… 「…調べた?武者小路のこと」 寝起きの響は掠れ声で、妙に色っぽく耳に届く。 「あ…うん。びっくりした…響って御曹司なんだね?」 「…まぁね。今は金融系の系列会社で、専門的な仕事に就いている。まだ若造なのに次長なんて役職与えられてるけど…」 何だか雰囲気的に疲れていそうで…素直に大変だな…と思う。 響はゆっくり立ち上がって、私がいた部屋に向かって歩いてきた。 「風呂入らなかったろ?下着買ってきてやったから、入れば?…あと、これも」 手渡されたのは、明らかに響のパーカーとハーフパンツ… 「…え?あの…私帰りたいんだけど?もう少し寝てからでいいからさ…響送ってよ」 「お前を帰すつもりはねぇよ?昨日言っただろ?ここで一緒に暮らすって」 「そういえば言われた気がするけど…昨日外泊しちゃって親も心配してるし…」 「俺から連絡しといたから、問題なし」 えぇ… それで私の携帯にはなんの連絡も入ってなかったとか…? 「…でも…あの、10年ぶりに再会していきなり同居って…」 まだごちゃごちゃ言う私を、響は切れ長二重の瞳でしっかり捉えた。 「…10年ぶりに会えたから、離さねぇって言ってんの」 デカい響に見下ろされ…何も言えない…。 「俺はもう一眠りするから。お前はゆっくり風呂入ってこい」 なんか…『はい』って言うしかない雰囲気…。 バタン…とドアを閉め、響はドアの向こうに消えてしまった。 響がいなきゃ、1人では帰れない。 だって部屋と専用駐車場の直通のエレベーターがある家なんて初めてだし。 もしかしたらエントランスがどっかの階にあるのかもしれないけど、どうせ超高級マンションでコンシェルジュとかいて、私1人だと…不審者として捕まりそう…。 結局。 1人でこの要塞から出るのは諦めることにする。 それならば…入れって言われたお風呂に入らせてもらうことにした。 「なにこれ…ひっろっ!」 個人の家のお風呂ってレベルじゃない…。 10人くらいは入れそうな広さ…ってそれは言いすぎか。 バスタブにはすでにお湯が張られていて、しかもシュワシュワ気泡が立ってる。 洗い場の先にも何かありそうで、裸のまま覗いてみた。 「うわっ!露天風呂…!」 体と頭を洗って、早速露天風呂にダイブした。 「あぁ…気持ちよい…!」 朝の空は澄んでいて…10月の風は心地よい。 これでもかと癒してくれる露天風は…お世辞抜きでサイコーだった。 広い脱衣室には椅子もあって、至れり尽くせり。 ゆっくり涼んでから、さて服を着ようとして思い出した。 そういえば…有名メーカーの小さな紙袋に入ってる、響が買ってきてくれた下着…。 恐る恐る中を確かめると… ピンクのレースの上下。 シンプルなんだけど、ところどころレースの透け感があって、身につけてみると結構セクシー。 たいしたことない私の体も、途端に色気を放っている…ように見える。 響…女子のこういう下着が好きなのかな…なんて、いらん想像しちゃう。 そして…ブラのホックをして気付いた。 サイズがピッタリ… そういえばショーツの方も。 「…なんか、すごい慣れてる感…」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

839人が本棚に入れています
本棚に追加