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お味噌汁を一口飲むと温かさに、体がほわっと緩んで行く。“美味しい”と呟き、他のおかずを口に運び、あっという間に食べ終えた。
「ごちそうさまでした」
「真凛、今日も部活?」
真凛が食器を流し台に入れると、母が何気なく聞いてくる。
「うん、今日も遅くなるかも」
「そう、分かった」
「俺も。今日はちょっと遅くなる」
「そう、匠もね、分かった」
真凛は壁時計を見ると、時計の針が出かける時間を差していた。
「そろそろ行かないと……」と真凛は呟きながらパーカーを羽織りつつ玄関へ向かう。
「行ってきます!」と言った真凛は玄関のドアを開けて、木枯らしが吹く肌寒い空気を感じながら外へ足を踏み出した。
* * *
高校は徒歩10分前後。海沿いの街に住んでいて、観光地にもなっている。最寄り駅は森倉駅で、海や山に囲まれている。
潮風を感じながら真凛は1人高校へ向かう。
高校へ着くと、シューズボックスの前で菜帆の後ろ姿を見かけた。
「おはよう! 菜帆ちゃん!」
菜帆はサラサラのボブの黒髪をなびかせながら振り返ると、真凛に向かって笑顔を向けた。
「おはよう、真凛!」
「真凛!」
スリッパに履き替えていると、遠くから真凛を呼ぶ声が聞こえた。
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