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「ええ……」
何故か自分がどう振る舞えば良いのか、マリアの記憶がさせるのか、自然に浮かんでくる。
「ごめんなさい、先程は驚かせてしまって……」
「大丈夫なのですか? 医者がもうじき到着されますよ」
「寝起きで……混乱していたみたい」
「……そうですか?」
「ええ……」
若干ミミは疑いの眼差しを真凛に向けつつも納得してくれた。
「分かりました。お嬢様がそうおっしゃるのなら、信じます」
「ありがとう、ミミ」
「では、医者には帰ってもらいますね」
ミミは小さくため息を付きながら言った。
「ええ……ごめんなさい」
「……記憶喪失などではないのなら何よりですよ」
「ありがとう」
真凛は微笑みながらミミにお礼を告げた。
* * *
数時間後。真凛はミミと一緒に馬車を使い街の市場へ来ていた。
澄んだ青空が気持ち良い。市場は沢山の商人や人で賑わっている。真凛はミミと一緒に見て回る。市場へは真凛がマリアへ入る前にマリアが来たがっていたらしい。
現代と何もかもが違い真凛は物珍しさも手伝って、ワクワクしていた。大道芸人のパフォーマンスに夢中になった後、真凛はやや疲れを感じた。
「ミミ、少し休みたいわ」
「そうですね、しばらく歩きましたから、お疲れでしょう?」
「ええ」
「何か食べますか? 果物が売ってますよ?」
「お任せするわ」
「分かりました」
ミミが少し外していると、見知らぬ男性が近づいて来た。
「そちらのブロンズの髪の美しい女性」
真凛は自分のこととは思わずにいると、もう一度声をかけられた。
「……私ですか?」
「はい」
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