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エドワーズとの出逢い
「そうです。貴女以外におりません」
彼は金髪碧眼の美男子だった。歳は同じくらいに見える。
「私に何か?」
「……こちらのハンカチを落としませんでしたか?」
彼はそう言いながら右手に持っている真っ白なハンカチを、差し出して見せる。しかし、見覚えはない。
「いいえ、私のではありません」
「そうですか……失礼しました」
そう言った彼の瞳は微かに揺れている。何故か真凛はその瞳を見ていると、胸が苦しくなった。
その場を少し離れようとした時、真凛は呼び止められた。
「あの!」
「え?」
思わず振り向いた真凛は彼の瞳を見つめた。
「この後、少しだけお時間ありますか?」
「え?……ええ」
「貴女に一目惚れをしました! もしよろしければ、私とお茶をしませんか?」
彼はとても紳士的な雰囲気で、優雅にお辞儀をしている。市場に似つかわしくない姿だ。真凛の鼓動は何故か早鐘を打っていた。頬が熱くなるのが分かる。
――凄く綺麗な男性。私ではなくマリアに言っているのに。
碧い瞳が美しく吸い込まれそうになる。
「ええ、かまいませんけど……」
心なしかホッとしたような表情を真凛に向けた彼は、”では、参りましょう”と真凛に手を差し出した。
「お嬢様!」
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