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「とにかく、お前はここで俺と暮らす。観念しろよ」
「……わかってるよ」
「よし、じゃあ俺の言うこと聞いてな」
「……は?」
なんだか急に匠の笑顔が真っ黒になったような気がして身震いする。
「俺さ、お前の母さんに頼まれてこうして一緒に住んでやってんだよ。俺の言うこと聞くべきだとは思わない?」
「全然思わない」
「そんなこと言っていいの?おばさんに電話してやろうか?」
チラッとスマホを見せてくる。
「……っ、それだけは!」
「だったら言うこと聞いてくれるよな?」
さっきから匠の笑顔が胡散臭いし、聞いちゃダメだってあたしの本能が言っている。
「なに」
「俺、モテんの」
「は?」
突然なにをいいだすのかと首を傾げる。
「学生時代もずっとそうだったけど、プロになった今もさ毎日女の子にアプローチされて追いかけられて、なかなか迷惑してんだよね」
「はぁ」
ただのモテ自慢を聞かされているような気がして話は半分も聞いていない。
「だから、お前。俺の彼女になれ」
「え?」
急に出てきた「彼女」という言葉に、ボーッとしてた頭もクリアになる。
「だから彼女になれって」
「いや、聞こえなかったわけじゃないって。それにあたしにはしゅ「ばか、フリだよ。フリ。真面目にとんな」
あたしの言葉を遮った匠に頭をぽんっと叩かれる。
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