俺の彼女になれ

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「久しぶりだなぁ……」 小学校2年生の頃に引っ越してから14年くらいか。 就職先を幼い頃に過ごした土地に決めて、今日この地に戻ってきた。 お母さんからさあまりに遠い場所への就職に「何考えてるの!?何かあったらすぐに行けないじゃない!」と心配された。 あたしが引っ越した場所からここまでは、新幹線で5時間いくかいかないかくらい。 過保護なお母さんは心配するだろうなぁとは思ってた。 「住んでたマンションまだあるじゃん。あそこでひとり暮らしするよ」 はじめからそのつもりだったし、絶対大人になったらここに戻ってくるって決めてたあたしはお母さんに知られる前にさっさと就職を決めてしまって、何も言われないように下準備をしていた。 「ちゃんと定期的に連絡するのよ」って半ばあきらめ気味に認めたお母さんに感謝をして、今日あたしは旅立った。 「わぁ……このマンションも久しぶりだなぁ」 あの頃は自分の背よりも高くて背伸びをしていたオートロックのボタンも今では自分の目線と同じ高さにある。 「あ、すみません!」 オートロックを解除しようと鍵を取り出すと同時に中から人が出てきてドアが開く。 ぶつかりそうになったあたしに誤ったあと、足早にエントランスを出ていった。
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