俺の彼女になれ

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『じゃ、匠ちゃんによろしくー』 能天気にそう言ってお母さんは電話を切る。 「ま、よろしくな。夏実」 スマホを置いたあたしの頭をポンっと撫でる。 「匠だって断れば良かったじゃん」 「別に断る理由もない。それにおばさんにお願いされてここの換気とかずっとしてたの俺だしな」 「だって自分の家すぐ下じゃん。自分の部屋の方が楽じゃない?」 「別にどこでもいっしょ。サガミに就職決まったんだろ?」 あたしが手に持っていた書類の入った封筒を指さす。 「……うん」 「柊に会うために頑張って就職決めたんじゃねぇのかよ」 「そーだよ」 「いいのか?俺のと同居断ったら全部台無しだぞ。それともお前、おばさんのこと無視して突き進められんのか?」 匠の言葉に何も返せなくなってしまう。 お母さんのことを無視して突き進めば、親子の縁を切るなんてことにはならないけどこの家は実家のもので、また新たに家を探さなくてはならなくなる。 地元の企業で一番のバレーボールチームはサガミだから、絶対サガミに柊くんは入るとそれに賭けて必死に大学1年生の頃から準備をしていた。 に入れるよう努力をして、大学4年で早々に就職を勝ち取った。 もうその時には柊くんは入団していたから最後の希望部署。 バレーボール部は人気だから不安で仕方なかったけど、努力を重ねてやっと掴み取った柊くんの近く。
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