俺の彼女になれ

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「いや……悔しいけど新しく家を借りる余裕もない。でも、せっかく掴んだチャンス逃したくないよ」 「だったら俺と住むことくらいでとやかく言うなよ」 「……うん」 こんなとこで止まってられない。 せっかく柊くんの近くに行けるチャンスを逃してなるのか。 「さっきね、柊くんに会った」 「は?もう会ったんかよ」 「一方的にね。向こうは気づいてないよ、通り過ぎていっちゃった。……けど、あたしはすぐわかったよ」 久しぶりに会うとき、感動的なものになるのかなとか想像していたのに。 現実は全然甘くなくて、あたしとは目も合わずに気づいてももらえなくて。 「ま、もうすぐ同じ部署で働くんだろ?」 「なんで同じ部署ってわかったの?」 「お前は本当に……柊しか目にはいんねぇのな?俺も同じ部員ですけど?」 じれーっとした目で見られて「うそ、ごめん!」と慌てて入社式でもらった冊子を開く。 入社式でこの冊子をもらって真っ先にバレーボール部を見たのにも関わらず、柊くんを見て満足してすぐに閉じてしまっていた。 「俺ら2人で取るにきまったんだろ。春高優勝のエースとセッターだぞ」 「そっか……そうだよね」 春高は見には行けなかったけど、テレビで応援していた。 優勝したときはとっても嬉しかったことを思い出すと顔が綻んでしまうのも無理はない。
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