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「そんなに嬉しかったかよ。柊が全国優勝して」
「え?」
「春高の話してからめちゃくちゃ嬉しそうな顔してる」
たしかに顔は綻ぶ。
でも、違うよ。そんなんじゃない。
「柊くんだけじゃないよ。テレビみててエース浅川って呼ばれてる匠みるのすっごく嬉しかったんだよ」
「……っ」
浅川って名前をきいて、匠じゃんって思ってテレビを食い入るようにみた。匠がスパイクを決めてガッツポーズをしている場面は迫力があって、思わずスマホのカメラに収めていた。
「きめーこと言ってんなよ」
ポンっとあたしの頭に触れて、反対側へと顔を背ける。
「なに、匠。照れてんの?」
「ばか、そんなんじゃねぇ。つーか分かってんの?そんな近づいてきて」
顔を覗き込んだあたしの手を取る。
「え?」
「俺らここに二人きりだよ。分かってる?」
「何言ってんのさ、匠のくせに」
「あのなー、俺だって男なんすけど?お前は柊のことばっか男だと思ってんのかもしんねーけど」
そのまま簡単にあたしのことを押し倒す。
昔はこんな力なかったのに、当時の違う事実があたしら焦燥させる。
「ちょ、匠!わかってるからそんなこと!」
「ムカつくんだよ。お前は昔から柊のことしか見てねー」
「そ、そんなこと「あんだよ」
匠の顔が近づいてきてもう少して唇と唇がくっついてしまいそうなとこまでくる。
抵抗したいのにあたしの力じゃ匠には叶いっこない。
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