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時刻が分かればこっちのものだろう。そう高をくくっていた僕が甘かった。
はじめ、僕はその予定の時間に義母を迎えに行った。戻る最中にたっくんが愚図ってしまってはいけないと、たっくんも連れて二人で。
「えー、お迎え? 危ないのに。でも嬉しい」
迎えに来た僕らを義母は驚いたように見ていたが、嬉しそうに笑ってくれた。
そうして三人仲睦まじく歩いていた時だった。
横断歩道を歩いていた僕らめがけてトラックが突っ込んできたのだ。突然のことに動けないでいると、義母が僕らを突き飛ばした。衝撃に驚く僕の目に、吹き飛ぶ義母の姿が映る。
人の体はあんなに簡単に吹き飛ぶのだと、他人事のように考えた。
吹き飛んだ義母のところに慌てて駆け寄る。
アスファルトで擦ったのだろう、顔に痛々しい赤い傷が走っていた。
それでも、義母は笑って言った。
「大、丈夫? ケガ、して、ない?」
一緒にいたたっくんが、泣き出す。
そうして、また時間は巻き戻る。
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