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車に吹き飛ばされるのは初めてだな、こんなに痛いんだな。
頭のどこかで、そんなことを考える。
たっくんに振り回されるおもちゃも、こんな気持ちなのかな、なんて。
多分、こういうことなのだろう。
誰かがトラックに吹き飛ばされることは決まっていて、それは変えることはできない。
それなら、たっくんにとって、よりよい方を選ぶ。
たっくんを、騙してでも。
だから。
母と、たっくんが駆け寄ってくる。
僕は、それを見て、精一杯笑いかけた。
「ごめんねたっくん。今日はもう遊べないから」
呆気に取られているたっくんの頭を、優しくなでてみせる。
「また明日、ね」
僕の気持ちが伝わったのか、たっくんは茫然としながらも、頷いた。
たっくんは、そういうことに敏感だから。
僕が精いっぱいやった結果だって、分かってくれるから。
だから、どうか。
僕は、祈るような気持ちで目を閉じた。
どうか、この二人が、幸せに未来へ進めますように。
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