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また同じ朝を迎え、僕はベッドから起き出す。
愚図るたっくんを宥めた義母が午前中休み、その後出かけるのを見届け、僕もそっと出かけた。
向かったのは義母の勤め先であるスーパー。働く義母の姿を外から見つけ、そっと観察する。確か仕事上がりは五時のはずだ。恐らくその帰りに義母は事故に遭う。その時間を見計らい、どうにか事故を防げないだろうか。僕はそう考えた。
実際にどの時間に事故に遭うのかは分からない。もしかしたら予定より早く仕事が終わるかもしれない。そのことも考え、僕はずっと義母を見張ることにした。熱中症にならないように近所のコンビニを行ったり来たりしながら、僕はその時を待つ。
そろそろ日も暮れてきた頃だった。立ち読みする本もなくなってしまい、店員に不審な目で見られ始め、どうしようかと困り始めた頃。何度目かの偵察で、いつの間にか義母の姿がスーパーから消えていることに気付いた。まずい、もう帰ってしまったか? 今から追いかければ間に合うだろうか。
慌てて走り出そうとしたところで、車の急ブレーキの音が聞こえた。
僕は時刻を確認する。五時を少し過ぎたところだった。本当に仕事上がりすぐだったのだろう。
音がしたその方向に向かおうとしたその瞬間、僕は自室のベッドに戻っていた。
僕がいないことに気付いたたっくんが、愚図ってしまったのだろう。なるほど、こういうパターンもあるか。
やれやれ、と思いながら僕はまたリビングへと向かう。
幸い、時刻は分かった。ならば、たっくんを連れて行けばいい話だ。
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