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この物産店も人気で、買い物をしている人も楽しそうだ。たまに文句を言っている人もいるが、それは売切れで買えない品物があった事に対するものだった。
それに売れて評判が良いと、店員も明るい。だから、多少の文句も笑って許している。
「……余裕が大切だな」
「夏目さん、いつも余裕がないですからね……」
俺は確かに余裕がないが、人生は楽しいものだと思っている。
「亜子さんが、遺体を見つけてしまったのと言ったのは、もう犯人を知っていて、このままで良かったという意味か……」
「そうかもしれません」
ここで弥生が人殺しの犯人になった場合、この地元物産展店や、遺体が埋められていた庭園見本園への影響は大きい。
「まあ、俺はもう公安ではない。犯人を捕まえる事など、どうでもいい」
「そうですね」
そもそも、玲央名にきた依頼も、婚約者を探す事で事件解決ではなかった
「平和なら、それでいい」
「雨が降っても、それで植物が育つようなものですか?」
事件が再発しないのならば、そっとしておくことも正解だ。俺は、警察でも刑事でもない。
「さてと、では、次は俺の話ですね」
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