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第七章 夜に咲く花も在る 二
辰見は俺を持ち上げると、肩に乗せながら、時々、腹に顔を埋めた。
「ブブブブブブ」
「ケケケケケケケケ」
腹に息を吹くのは止めて欲しい。
「ブブブウウ」
「ケケケケケ!止めろ、笑いが止まらん!ケケケケケケケ!」
どうも俺は、猿になっても腹が弱い。そして笑い続けていると、亜子の家に戻っていた。
「あ、車が来た」
「ケケケケケケケケ、ケケケケケ……苦しい」
その白い車は、四駆の軽トラックで、亜子の長男である孔士が使用していた。軽トラックといっても、かっこいい形状で、お洒落な乗り物になっている。それに横に入っているロゴが、金色に輝き、文様のようになっていた。
「公務員の長男です」
「ケケケ……どうして、俺達は茂みに隠れる????」
辰見につられて、全員で隠れたが、隠れた意味が分からない。
「これが、俺がここに残ってしまった理由の一つなのです」
「孔士君が????」
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