第七章 夜に咲く花も在る 二

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 孔士は、どこか亜子に似た横顔で、だがやんちゃな面影を残した青年だった。現在は公務員をしているが、真面目な反面、イベント大好きな性格をしているらしい。そのノリの良さと、真面目さを兼ね備えた性格は、田舎のアイドルのようになっているらしい。  今も孔士は、野菜などを厨房に運んでいたが、その荷物には花火も交じっていた。 「俺は人を見間違えません。赤ん坊から老人までの姿、どの姿でも、同一の人間だと分かります」 「うむ、知っている」  だから、三毛の夢に入り、見た人物を現在の人物と結びつける事が出来る。  そして、赤ん坊の写真からでも、成人した人物を探す事が可能だ。しかも、整形していても関係なく、まるで珠緒や英トのように、遺伝子が見えているかのようだった。  しかし、辰見は遺伝子を見ているのではなく、人間を見ているのだと言っていた。 「孔士君は、綾人さんです」 「ん????????」  孔士は亜子が産んでいて、玲央名との子供だろう。それは、出生からの記録もあり、確かな事だ。 「不思議に思われるかもしれません、俺も不思議で、悩んでいます」
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