第七章 夜に咲く花も在る 二

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 そして、辰見は亜子に頼み、あるだけの写真を見せて貰った。すると、更に謎が深まった。 「それだけではなく、亜子さんは……」 「姫様と天女も繰り返し生まれていたのか……」  百年以上前と思われる白黒の古い写真には、亜子と思われる赤ん坊がいた。そして、その赤子を抱いている武士が、綾人であり孔士だったというものがあった。他にも、天女と思われる女性が、綾人と夫婦になっている写真があったという。 「犬もありました。俺、犬も見分けがついたみたいです」 「これ犬か????牛ではないのか????シルエットしかないけど……大きく見える」  一番古い写真には、笑っている亜子と、沢山の犬がいた。その犬も、はっきりと映っているのだが、シルエットのように影になっていた。  「こっちにも同じ犬」 「カラー写真でも、影か……」  二入年前の写真にも、百年前の写真にも、同じ犬が映っているという。 「生まれ変わりのレベルではなく、同一です」  この繰り返しには法則がある。 「犬の伝承と、天女の伝承が入り混じって、分かり難い」 「どちらも同じなのでしょう」
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