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確かに、どちらも伝承で、今分かっている事には意味がない。
俺が悩んでいると、遠くで犬が吠えていた。しかも、最近は聞かなくなった、遠吠えだ。
「遠吠えだ」
「ここでは珍しいものではなく、毎日聞こえています」
犬も飼われてゆく内に、人間のルールに縛られ、適応してゆく。だから、遠吠えをする犬が消えていった。
「ウオオオオオンン」
「近いな」
犬の姿は見えないが、かなり近くで遠吠えがした。すると、応答するかのように、三か所から遠吠えが聞こえた。
「ワオオオン」
「ウオオオオンンン」
「ワオオオイイウ」
「道原、翻訳」
聞いていると、業務連絡をしているように感じる。そして、ボス級が近くにいる気配がする。
「ワアアアアアオン」
「タイミングがずれている奴もいるな」
そして道原が本当に翻訳し、周辺の不審者情報だと言っていた。
「ワアアオン」
「夏目さんも遠吠えしないでください!」
俺も遠吠えしてみたが、声が遠くまで響かない。やはり、体の大きさに違いがあるのかもしれない。
「ワオオオオオン」
だが返事がきた。
「道原」
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