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「はいはい、翻訳ですね」
俺の遠吠えに対する返事は、心配するな、守ってやるから泣くなだったらしい。
「酒くれと言ったのに……」
「悲鳴に聞こえたのでしょう」
そもそも、猿と犬は会話が出来なかったのかもしれない。
「うむ……辰見が帰って来なかった理由は分かってきた」
「そうですか!」
この犬達は、百年前の写真に写っていた犬達だ。そして、周辺を走り回り、風が過ぎるような音を立てている。だが、耳を澄ますと、小さな足音がした。
「トントン?」
足音がするという事は、実在する生き物だろう。
「肩を叩かれた????」
「何もいませんよ!!!!」
これは、謎ではなく怪奇現象かもしれない。
だが、説明しようとすると、亜子が家から出てきて、こっちに向かって手招きしていた。
「隠れたつもりでも、尻尾が見えていますよ」
「尻尾???」
俺に尻尾はあったのだろうか。
俺が尻の辺りを確認していると、亜子がやってきて、俺を抱き上げた。
「見つけた!」
「よく見つけましたね……」
亜子の家から、この茂みは見えていなかっただろう。
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