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「意外に軽いのね……ちゃんと食べている?」
「食べています……」
それなのに、どうして家の中にいた亜子に、俺達の居場所がわかったのだろう。
「赤ちゃんみたいね……」
「違います!」
そして、闇の中に紛れている、気配のようなものを感じた。
「そこに……」
「大丈夫よ。彼等は、襲ってこない」
襲って来ないかもしれないが、かなり睨まれている。そして、ブツブツと文句を言っている気配がしている。
生き物ならば。言葉が通じていなくても、文句を言われているという事は分かるものだ。
「道原、翻訳」
「毛の生き物よ、身だしなみを整えられよ」
それは、もしかして俺の毛並みが汚いという事だろうか。俺は自分の匂いを確認してみたが、まだそんなに臭くない。
「あらあら、彼等、夏目ちゃんが気になっているのね……」
「気にしなくていい」
しかし亜子は、間近で見ても年齢が分からない。亜子の肌はピンと張っていて、皺もない。そして、手も美しく柔らかかった。
「亜子さん……おいくつですか?」
「年齢を聞くのは失礼よ。女性はね、いつまでもお姉さん」
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