第七章 夜に咲く花も在る 二

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 年齢を言わなくなった辺りが、認めない年齢だという事だ。 「俺は二十四歳、研修医」 「嘘ね」  そして俺の年齢は、バッサリと否定された。 「亜子さん……」  亜子は、息子が綾人と似ているという事に気付いていたのではないのか。しかし、俺が質問する前に、亜子が別の事を話し始めていた。 「この庭園から、白骨が見つかった……」 「あ、ごめんなさい」  亜子は事件の捜査はしないと言っていたのに、遺体が見つかってしまった。 「警察から連絡があってね、見て欲しいものがあるって……持ち物から、人物を特定しているみたい」 「持ち物があったのですか……」  しかし、二十年という月日は長く、持ち物を聞かれても分かる筈がない。でも、決定的な事柄もあった。 「叔母らしき人には、結婚指輪がある筈だった。けどね、指輪が無かった」  だからといって、叔母ではないとは言い切れない。だから、叔母には子供がいたので、DNAでの確認に切り替えたらしい。  そもそも、子供がいるのだから、子供に聞く事が正解で、亜子に聞いても分からないだろう。
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