第七章 夜に咲く花も在る 二

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「庭師だった方の家族は知らないかと聞かれて……今更だけど、驚いてしまったの。庭師の方は一人暮らしで、誰も失踪届を出していなかった……」  そこで亜子は、当時の履歴書を探し出し、両親などを探そうとしたらしい。すると、帰って来た玲央名が、代わりに探しに行った。 「玲央名さん、出かけてしまったのですか……話しがしたかった」 「ごめんなさい。玲央名さん、人探しは本職だからと言って……行ってしまったのよ」  亜子は俺に頬擦りすると、匂いを確認し、やや離した。そして、足早に移動を始めると、俺を風呂場に連れ込んだ。 「シャンプーは犬用でいいのかな……」 「ウール用の柔軟剤で仕上げています」  亜子は、俺の話を全く聞かずに、犬用を使用し、丁寧にシャンプーすると、高級そうなトリートメントをしてくれた。すると、毛艶が良くなり、更にピカピカのフワフアになった。しかも、毛が巻き毛になっていて、キラキラと光を反射して揺れる。 「ピカピカになった」 「ふふふふふふ……」  亜子は勝ち誇ったように、ドライヤーを駆使して乾かし、あちこちを編み込みやリボンを付けた。 「可愛い!!!!!!!!」
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