第七章 夜に咲く花も在る 二

12/20
前へ
/151ページ
次へ
 しかし、亜子の家では、犬は外で食事をするらしい。そこは、互いの個性の尊重であり、差別にはなっていない。 「夏目ちゃんの食事は、乳製品抜きね」 「大きくならないぞ」  長男の孔子は、別に家を持っていて、子供も二人いるらしい。だから、俺に興味を持っていて、持ち上げて重さを確認していた。 「持ち帰ったら、息子が友人にしそうだ」 「持ち帰り不可」  息子は三歳で、俺の遊び相手に丁度いいと言っていた。しかし、それは有難くない。俺は三歳は卒業している。 「どこかにマイクがあるのか?」 「自力で喋る」  孔士も俺が喋っても驚く事はなかったが、まだ仕掛けがあるのかと探していた。しかし、生き物であり、知能があると理解したのか、頷くと握手していた。 「よろしく」 「こちらこそ、よろしく」  そして孔士は、自分は公務員で、普段は畜産課で飼料の手配をしていると説明してくれた。そして、息子は学生結婚で出来た子供で、親にかなり怒られたと付け足した。 「息子はいい奴か?」 「いい奴だ」
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加