第七章 夜に咲く花も在る 二

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 孔士の息子は動物が好きで、家の前に足跡があると、どこの家の何種の何歳で名前は何だと言い当てているらしい。そして、家の前には足跡が残るように、砂地が造られていた。そして将来は、犬が長生きできる社会を造りたいと言っているらしい。 「猿は除外か?」 「息子に相談しておく」  孔士もいい奴のようだ。  そして、犬を敬愛している。 「息子が産まれた時は、歴史上に残るような豪雨で、冠水どころではなく、もう付近は湖のようになった。ああ、これは俺の息子だと思ったよ」 「二番目は?」  最近、二番目の子供が産まれたが、それは娘で、晴れなのに雨が降っていたという。 「晴れなのに雨。これは、天女だな……きっと美人に育つ」 「親バカか……」  そして、天女が産まれたので、亜子は玲央名に連絡をした。 「親父が、大きな花束を持ってやって来た……何だと思ったら、娘に渡そうとしていた……」 「親父、娘には弱いから……」  弱いという問題ではない。どうして、出産祝いに花束だったのだろう。そして、孫娘を構い倒し、更にあれこれ買っていったらしい。 「玲央名さん……」 「親父……」
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