第七章 夜に咲く花も在る 二

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「魚も肉、野菜も、全部、生がいい」 「細菌とか、微生物は生き物に不可欠。しかし、殺菌が必要」  無農薬、有機野菜、そういうものも良いが、調理は重要だ。そして、この田舎料理にも、その解答がある。  長く食べられている料理は、少なくとも、野菜と人間が共存した結果なのだ。だから、結果が出ている安全な食でもある。 「この料理は素晴らしい」 「猿君……意外と気が合いそうだ」  龍平はかなり真面目な表情で、料理と俺を見比べていた。 「俺は食べないでね」 「そうか!野菜と畜産は、一対か!!循環が重要なのか!」  この龍平という人物は、食事を前にしても、ノートを出すと、細かい字で書きこんでは唸っていた。そして、時々、一人で頷いている。  龍平は頭が良いようだが、バカだ。そもそも、普通に考えていれば、循環は最初に分かるだろう。 「んん!!そうか!」 「夏目さんもうるさいです」  そして俺も、最初に気付いておかなければならない点を見落としていた。  そもそも俺は通常社会の生まれだが、地下社会で育っている。だから、常識が曖昧で、常識が無いと言われても否定できない。
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