第七章 夜に咲く花も在る 二

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 俺は自分の父親の記憶が少ないが、世の中の男性はどうやって親になってゆくのだろう。俺も、やっと親になったと思った時には、離婚されていたので、よく分かっていない。 「掃除や洗濯、家事は出来る。それなのに……」 「仕事と違って認められない、評価されない。けど、しっかりやってゆく。それが妻で、凄いところだ」  俺は感謝を伝えたつもりだったが、何度も潜入捜査に入ってしまい、家に帰れない日々が続いた。だから、実行が伴っていないのに、感謝だけするなと怒られた。  やはり、潜入捜査官は、家族を持ってはいけなかったのかもしれない。どんなに理解されていても、俺は家族を幸せに出来なかった。  そして、この家を守る犬の群れで、やっと気づいた。 「群れというのは、子育てにとっては有効なのか……」 「役割の分割ですか……」  子育てのプロというものが、群れには存在しているのかもしれない。 「亜子さんは、天女が産まれたから、自分の寿命を察した。でも……それは違うのです」
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