第一章 十月に雨が降る

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「……辰見は、古い家に閉じ込められていて、俺に合図していました……」  三毛は夢で、人の過去を体験する事が出来るので、それはかなり正確な情報だ。 「辰見は、閉じ込められていたというのか、アレコレ事情があって、帰れない状況になっているようです。それで、過去を見る三毛が、きっと自分を探すだろうと予測し、合図を送っていたのでしょう」 「ふむふむ」  辰見ならば、三毛の行動を予測出来ただろう。 「夏目さん……辰見はいい奴で……俺が夢で見た事を、いつも解析して報告書にしてくれました……だから、俺も辰見の仕事を手伝っていた……」 「協力し合っていた、仲間です」  情報屋を目指している道原も、辰見の存在には目を付けていた。しかし、三毛の能力が凄いので、すっかり忘れていた。  三毛は他者にも過去を体験させる事が出来、そのリアルさは、その場所に生きているレベルなのだ。例えばマンモスなどの触感、食べた時の不味さも再現でき、足音に地響き、大きさによる恐怖も実体験となる。そして、現在の肉の美味しさに感動する。 「マンモス不味かった!」
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