第八章 夜に咲く花も在る 三

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「……それだけではありません。辰見 峻人は弟ですから。どんな所に住んで、どんな風に生活しているのか気になって、自分で調べていました」  孔士も龍平も、辰見を気にしていたらしい。 「妹もいるだろう」 「はい」   そして、妹を見る為に、二人は地下社会に行った。 「美人姉妹で驚きました」  そしてその時に、『時には雨』という店の存在を知り、凜子を見たという。 「凜子さんも美人で、それでいて逞しくて……素晴らしい女性でした」 「だから、玲央名さんは母さんに靡かなかったのだと理解しました」  そして、辰見の家族というものを知り、信頼関係と絆に驚いたという。 「辰見家は、一見バラバラになっていました。でも、妹は兄を一番に信頼していた。そして兄は、当たり前に妹達をフォローしていた」 「……まあ、家族ですから」  辰見の能力が地味だが、妹二人は尊敬していた。それに、辰見の能力は、そういう特殊なものを頼らなくても凄い所だ。 「俺達は、君達と血が繋がっている事が誇らしかった」 「……ありがとうございます」
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