第八章 夜に咲く花も在る 三

7/15
前へ
/168ページ
次へ
「確かに、可笑しい。ははははは!!」  そして、孔子と龍平も俺の笑いにつられていた。  「どこが可笑しい??????」  だが、笑い始めると止まらない。  月に僅かに照らされているが、暗闇の小道で、笑っている連中は頭がおかしい。そう思うと、又、笑えてくる。 「夏目さん。犬が嫌いではないのですね?」 「犬は嫌いだろう!俺は猿だぞ!」  俺が叫ぶと、犬達がシュンと頭を下げてしまったので、少し考えを訂正した。 「…………まあ、嫌いではない」  すると、喜んだ犬が、周囲を走り回り始めた。これは、かなり怖いし、騒々しい。  闇の中を黒い影が走り回り、木々が狂ったように揺れている。これだけ、物音がするとなると、この影は実態を持っているのだろう。  そして、感情と意思を感じる。 「止まれ!お座り!」 「あ、命令は止めたほうが……」  しかし、犬達は再び整列すると、俺に向かってお座りしていた。 「……命令できるのは、殿様だけだと思っていたのに……」  殿様といえば、ここの伝承にある殿様だろう。すると、その頃から、この犬達は存在していたという事になる。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加