第一章 十月に雨が降る

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「突然、どうしました?????それに、食べる前に、怖かったが正解です!」  比べると辰見の能力は地味で、見逃しがちだ。だが、努力を重ねる良い人材だ。俺も辰見をスタッフにしたいと思うほどだ。 「夏目さん……辰見を助けてください……あの、俺、金は無いですけど……もっと……役に立ちますから……お願いします」 「俺は級友を助けるのに、金を要求しない」  だが、お小遣いを使い切っている事も確かだ。これは、地下社会の山科に連絡をして、少し補充して貰おう。 「山科に電話……」 「怒られますよ……」  小遣い制にされてしまっているが、俺が稼いだ金なのだ。少しは優しくして欲しいものだ。 「それで、辰見は、何がどうなっている?」  そして、何故、助けを求めたのだろう。 「……急いで……辰見の所に行きたい……」  三毛は情けない所もあるが、とても仲間思いで優しい。だから、俺も三毛を気に入っている。 「道原、今日は四駆で来ているか?」 「新車の四駆です」  道原も俺の家に事務所を構えたので、道の悪さは承知している。しかし、今日は別々に登校したので何で来ているのか分からなかった。
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