第八章 夜に咲く花も在る 三

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「そうですね……俺達も、事実は知りたいです」  そこで、遺体が埋まっていたという観音像の場所まで、これから行ってみる事にした。 「夜に行くなど、肝試しみたいだな」 「そもそも、警察もいるので、日中は近付けません」  だが少し休憩して、バナナを食べると、俺は離れの外に出た。すると、走ってきた道原が、俺を抱えていた。 「水溜まりがあるので、汚れないでください」 「水溜まりには入らない!」  まあ、他のモノには入るかもしれない。  しかし、道原は折角綺麗にして貰ったので、汚すなと怒っていた。 「ここで、重要な事は、この事件は二十年ほど経過しているという事だ」 「その間、失踪事件という事になっていて、事件としては扱われていません」  俺と道原が道を確認していると、孔子が懐中電灯を持って前に出た。 「この斜面を下ると近道」 「崖!??」  孔士も、この土地で育っているので、懐中電灯を持っていても、崖下りに余裕がある。そして、植木や庭石をうまく避けつつも、丁寧に説明してくれた。 「今から二十年と少し前、ここでは失踪が相次ぎました」
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