第八章 夜に咲く花も在る 三

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「探し始めると、同僚の彼女、親友の両親、いつも来ていた配達員も失踪していた事が分かりました」 「失踪を繰り返すから、玲央名さんが必要だったのか……」  亡くなっていなければ、玲央名が探す。玲央名に探せないのならば、それは亡くなっているという事だ。 「玲央名さんが、探し出してくれた人もいますが……ほぼ、探せませんでした」 「亡くなっているのか……」  これは、廣川に連続殺人犯がいるのか、連続殺人犯を引き寄せる体質なのかのいずれかだろう。事故が連続した可能性もあるが、事故ならば、失踪ではないのだ。ちゃんと現場が残る筈だ。 「しかも、失踪する人数が多いほどに……廣川は繁栄するのです」 「その関連は分からない……」  だが、その関連性が分からなくても、そうなってしまっていた。  そして、掘り起こされている現場に到着したので、俺は周辺を確認した。 「二十年以上経過していますので、今更、証拠は残っていません」 「そうでもない」  俺の目は、夜でも見える。だから、ライトを必要としない。その目で見てみると、穴はかなり深かった。骨とその周辺を掘ったにしても、かなり深い。
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