第八章 夜に咲く花も在る 三

13/15
前へ
/168ページ
次へ
 これは人力で掘ったものではなく、庭木の移植の時に使用する、器材を使って掘ったものだろう。 「観音像の意味は何だった????」  入口の目印に、観音像を置くのは変だ。だが、搬出の無事を祈って置いたという可能性もある。 「…………ここには、他にも埋まっているのか……」 「どうして、そうなるのですか????」  それは、観音像の向きにある。  観音像は移動されて、今はシートを被って道の向こうに置かれている。だが、土台から向きが分かる。  そして土台が迎える方向は、入口に対して存在しているのではなく、山に向かっていた。  俺が山を見上げていると、孔子がライトで照らしてくれたが、その範囲は狭い。そして、俺はライトが無くても見えている。  そして、影の犬達も、俺と同じ方向を向いて整列していた。 「うむ」 「又、変な動物を手懐けていませんか?」  道原の推測は正しい。   この影の犬は生き物だ。だから、孔子と龍平が、俺に質問しようとしている。 「観音像自体は、新しいものではなく、移設してきたと聞いています。そこに意味があったのですか?」 「この位置にも意味があった」
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加