第一章 十月に雨が降る

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 ちなみに、俺は自分のバギーを運転してきた。これは、濡れるという前に、屋根が無い代物なので、雨の中、水着に防水眼鏡だ。そして、学校でシャワーを浴びて着替えた。猿なので全裸でもいいが、そこには羞恥心があったのだ。 「今日は、事情があって親父の車で来ています。シマウマ柄のランドクルーザーです」 「……ヒョウ柄じゃなくて良かった……」  しかし、道原の親は、どうして動物柄が好きなのであろう。 「珍しいな。親父の車なんて……」 「はい…………」  道原は六男なので、仕事以外では親父と関わる事が無い。 「原因は夏目さんです。親父が夏目さんを見て、モフモフしたいと言い出しました。それで車を、密林でもサファリでも走れるように改造して購入……」 「俺はジャングルかサファリに住む生物か????」  道原のモフモフ好きは、母親の遺伝子かと思っていたが、父親の血も継いでいたらしい。 「このモフモフは俺のです!誰にも渡しません!あれ、やっぱり臭い」 「臭いと言うな!」
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