第九章 夜に咲く花もある 四

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 これは、ゆっくりと話し合ったほうがいいようだ。 「英ト、ありがとう。珠緒ちゃんに土産を買ってゆくと伝えておいて。あ、代わらないで!!」  電話を代わったら、怒られる。  電話を切ると、俺は地面にしゃがみ込んで考えてしまった。  この土地は、影の犬が生息している土地だった。そして、姫様と天女と呼ばれる女性が産まれ、影の一族を再生してくれた。 「影の一族を産む……」  そこに、まだ謎が残っている。 「天女も、人ではなかったのではないですか?」 「天女なので、人ではなかっただろう。では、何だった?」  天女は、地下社会の住人だったのかもしれない。すると、少し納得できる。  それは、亜子と凛子の存在に近い。 「だから……惹かれ合うのか……」  異なるから惹かれ、そして理解しようと足掻く。 「事件解決しつつ……」 「ここから撤去ですか……」  孔士は、既に決断していた。 「そうだな。この古い土地では、犯罪者を出すとやってゆけない……」  これから百年を経過しても、犯罪者の一族というレッテルが貼られてしまう。 「あれこれ連れていかないと……」
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