第九章 夜に咲く花もある 四

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 そこが殿様だろう。この土地で虐げられる者を、放っておけないのだ。 「まずは、処分か……ホテル経営者から、グランピング施設を譲って欲しいと言われていたから、手放す。その時に、庭園見本園も一緒に売ろう」  造園業には、他の土地に移住した祖父の弟子がいるので、権利を譲り任せるという。  しかし、犯罪者といのは誰の事なのであろうか。少なくとも、廣川の一族に被害者はいても、加害者はいない。弥生が従業員なので、一族ではなくても、経営に影響するのかもしれないが、手放すとは思い切った事をする。  そこで、俺は改めて捜査員として現場を確認した。 「まず、ここに四人の白骨死体があった」  この白骨死体は、重なるように埋められていたらしい。だが一番底に埋まっていたのは、男性の骨だった。 「西海、資料」 「隠れていたのに、どうして分かりました???」  それは、ウチの番犬が優秀だからだ。 「この影の犬、俺のバイクを齧っているので、止めさせてください」 「そうだな」  バイクは美味しくないので、食べないほうがいいだろう。  そこで俺が骨を出すと、犬が競って投げていた。
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