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「部屋に戻る」
「そうしてください」
だが、西海を逃がすつもりはない。
俺が西海の腕を掴んで車に乗り込むと、部屋に戻ると思っていた道原が、引き返してきた。
「部屋????」
「器材が車にあるからだ」
同時期にいなくなったのは、亜子の叔母である良美、家庭教師の竹本、そして庭師であった。そして、その後に義叔父と従兄弟がいなくなり、父親が病死した。しかし、父親の病死は、失踪の日付と比べると、かなり離れているので除外したほういがいいだろう。
「多分、ここには四体以上埋まっている」
「ええ???警察が周囲も確認していますよ」
しかし、観音像の中までは確認していないだろう。そして、周辺を掘り返さないと、真相は分からないのだ。
「西海、他にも失踪している者がいただろう?」
「いました」
まず、良美の夫も失踪している。
西海は、失踪者のリストを画面に出してくれたので、俺はここに埋まっているだろう遺体を指で示しておいた。
「情報を送っておきますが、どうして分かるのですか?」
西海が質問してくるのは珍しい。それだけ、この事件が複雑なのだろう。
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