第九章 夜に咲く花もある 四

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「これは、今から百五十年ほど前の地図」 「そんなものは、どこにありました????」  そこは起業秘密で、あれこれ持っているのだ。 「まず、観音像の場所には古い祠があった。その祠が壊れたので、観音像を設置する事にした」 「そうなのですか?????」  それは、古い地図を辿ってみれば分かる。そして、そもそも、その祠は城の一部だったと言ってもいい。祠の下は井戸のように深く掘られていて、抜け道を隠していた。  観音像は、かつての城を見ていたので、ここが隠し通路だったという事を、建設した者は知っていた筈だ。  そして、今回発見された遺体は、思ったよりも浅い位置にあった。本来の通路は、もっと深い場所にあった筈だ。 「きっと廣川の一族は、祠の意味を知っていた。そして、祠が目印とは別の意味を持っている事にも気付いていた」 「別の意味ですか?」  それは弔いだ。 「…………城には財宝があったという伝承がある。だから、勝手に発掘しようとした者がいたはずだ。そして、この祠は通路でも、他者にとっては罠だった」  それは、俺も罠を作るので構造が想像できる。
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