第九章 夜に咲く花もある 四

11/15
前へ
/184ページ
次へ
「他の土地から来て、失踪した場合は、ほぼどこかの仕掛けで命を落としたと考えていい」 「物騒な場所ですね……」  だから、埋めた。そして、その伝承を知っていたのか、知らなかったのか分からないが、その上に遺体を埋めた者がいた。 「家庭教師と庭師は、この埋蔵金の伝承を知っていたのかもしれない」  とくに庭師は、あちこちを掘っていた。 「そこに弥生さんの、良美さん殺しが発生する。咄嗟に起きた事故だったのかもしれないが、殺意はあった」  それをトリガーにして、埋まっていた思惑が動き始める。  まずは家庭教師の竹本は、弥生を見張っていたので、良美さんに起こった事を察した。そして遺体を見つけたのかもしれない。 「竹本は弥生さんを呼んで、良美さんの遺体を店、遺体は穴に落とすので、見つからないと告げる」  弥生は協力者など必要としていない。良美が生きていたとしても、きっと事故で済ます事が出来ただろう。  その時は、突き落としたのではなく、助けようとしたと説明できる。 「だが弥生は、竹本を穴に落として蓋をした」
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加