第十章 夜に咲く花も在る 五

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 殿、若、姫、天女、メインの登場人物と、守り、側仕え、乳母などの役割を持っていた者がランダムに生まれていて、新しい存在は産まれていないらしい。 『三つ、同じ存在は、同じ場所で生きてゆくことが出来ない』  これが困った事で、綾人と孔士は同じ場所で生きる事が出来ない。だから、綾人は裏社会に行った。 「同じ時代に生まれないとか、同時に生まれないというわけではないのか……」 『離れれば産まれる。常に同じ面子が揃う』  通常社会、裏社会、地下社会は、ここでも別社会とカウントされるらしい。 「だから廣川一族には、失踪が多い……」  同じ場所では生きられないからだ。 「綾人さんらしき人物は、裏社会で結婚して、子供が十一人います」 「子沢山だな……」  綾人は裏社会に行き、四乃守とも関係していた。そして、子沢山になれたのは、発動する遺伝子を変え、別人と認識させる事を可能としたからだという。  子供が沢山いるのは、その実験も兼ねていたからだろう。 「一卵性の双子でも、全く同じとはならないものです。そこに着目したそうです」
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