第十章 夜に咲く花も在る 五

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 この連続殺人事件は、西海の捜査によると、既に半世紀に及び続いていた。 「弥生の他にも、殺人鬼がいるのか?」 「土地の因習です。それを利用して、弥生は追及されない術を知った」  城跡には、他にも仕掛けが生きていた。この土地では、それを利用して、害のある人物を葬ってきたという。つまりは、私刑が実行されていたのだ。  そして、土地ぐるみで犯罪を隠した。 「この土地が犯人なのか……」  長い歴史と、土地の因習、そして人外が混じって、すっかり天外魔境だ。  そして、弥生一人と捕まえても、終わりにはならない。  だから、廣川家は裏社会に移りと言ったのだろう。 「そうか……廣川や犬達は、この事を知っていたのか……」  ならば、納得がいく。 「夏目さん、今日は車で寝るつもりですか?」 「そうだな、ここに器材があるからな……」  しかし西海は、連続して仕事をしていたので、俺がいない場所で眠りたいと言っていた。 「俺がいない場所を指定か??」 「そうしないと、安眠できません」  離れていても、安眠させるつもりはないが、離れていたいというのならば優先させよう。
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