第十章 夜に咲く花も在る 五

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 俺がキャンプの道具を探していると、見つけた道具を西海が奪っていた。 「夏目さんは、犬と遊びたいだけですね??」 「いや、ゴリラの方を調べたい…………」  俺の猿薬は、犬にも有効だったのか確認したかっただけだ。決して、ゴリラと遊びたかったわけではない。 「ここに捜査資料があります」 「西海、三毛と一緒に眠って来い」  三毛は必ず、事件の夢を見る。だが、俺は出来ればその夢に入りたくない。 「嫌です」  西海も、三毛の夢の事は知っているが、俺と同じく入りたくないようだ。 「そう言わずに、行って来い」 「絶対に嫌です!」  西海は俺を避けていて、目を合わせようとしない。捜査に有効でも、辛いものは辛いのだ。 「三毛の夢は、一生でも一回の夢です……」 「そうだな、俺も、もう何回も人生を全うした気分だ……」  これは、三毛の夢に入った事がある者しか分からない事だろう。  「俺が来た事は必然だった」 「三毛が来た事も、必然だったのでしょう」
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