第十章 夜に咲く花も在る 五

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「ケケケケケケケケ……」 「夏目さんが笑わないで下さい!!」  つい、笑いにつられてしまった。  まあ、この犬達は、俺達を見張っているのだ。そして攻撃はしてこないので問題はない。 「そこにサイコパスがいた」 「弥生ですね」  弥生は、罪の心を持たず、自分が正義になる事で普通に生きている。 「弥生の情報は、警察機関に送りました」 「送った…………????」  警察は、ここで白骨が発見されたので、既に来ている。しかし、厄介な連続殺人となると、本部が介入してくるのではないのか。そして、本部には本村がいる。  本村も、俺が生きている可能性を否定していないが、それでも、死んだ事にしているので、今、会いたくはない。 「……俺、今、人の姿だ……」 「そこは、想定外でした」  そこを、想定外にしてはいけない。俺の本体は人間なのだ。 「西海、弥生の過去に行って来い!」 「嫌です」  しかし、俺とは別に眠りたいという西海を、三毛が休んでいる離れに放り込んでおいた。そして、俺は車に戻ると、仮眠しておく事にした。
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