第十章 夜に咲く花も在る 五

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「そして、綾人さんを探そうとして……玲央名さんに出会った。始めて玲央名さんに会った時は、雨の日だった……玲央名さんは寝癖のついた髪で、困ったように私を見ていた……」  玲央名は、他の探偵とは違って、事件ではなく亜子を見ていた。 「子供と出会って、ああ、そうだったのか……と……分かったのかな……」  自分についている影、それは自分を守る仲間だった。そして、自分を取り巻く世界が守られていた事を悟った。 「姫も天女も、互いを思った。殿も犬も、互いを思った。それだけの事……」  そして、この世界が生まれた。  だが、その世界が社会を歪ませていった。成功は嫉妬を生み、嫉妬は善悪を惑わす。そして、サイコパスが生まれた。 「そうか……」 「それよりも、朝ごはんよ!」  亜子にとっては、連続殺人よりも朝食の方が重要らしい。 「あら、近くで見ても、美人さんね。お人形みたい、動いているのが不思議……可愛い!!!!!!」  無表情で叫ばれると、怖い。 「あ、お猿ちゃんの時も可愛いよ。でもね、この人の姿!絶品!!」
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