第十章 夜に咲く花も在る 五

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 弥生は幼稚園に入り、自分を虐めた子を井戸に落として蓋をした。それは、行方不明のままになっていて、今も親が探している。 「井戸には、五体ほど埋まっています。どうも、弥生のお気に入りの場所で、見た感じ、そこに井戸があるとは思えない場所です」  だから、苛めっ子にはカブト虫がいると誘い、他は山菜が採れるなどと言い、その場所に誘いだした。  しかし、山を捜索される事が多くなり、その場所止める。 「弥生は火葬場の職員とも付き合っていた時期があり、その時は牛を燃やして欲しいと頼み、二人焼いています」  牛の病気を誤魔化す為だと偽り、灰も残さないほどに焼却した。 「その頃は、熊の被害者として二人。海難事故で二人、一酸化炭素中毒で二人、自殺にみせかけて二人。二人もしくは二回というルールで殺していました」  二人という、多くも少ないもない数字が気に入っていたらしい。 「動機は嫉妬。もしくは虐め。自分の正義の実行です」  弥生の場合は、快楽殺人ではない。正義の殺人なのだ。だが、自分の嫉妬という面を浄化している。 「弥生の実家、喜多村は長く廣川家に仕えた、家臣という事になっています」
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